共通事項#

📒注: 監視サービスが 2024年12月25日に製品終息(EOL)を迎えるため、後継の監視サービスへのアラーム移行が必要です。
本章では、現行の監視サービス(以降、旧監視サービスと称す)と後継の監視サービス(以降、新監視サービスと称す)の アラーム用の APIの変更点について説明します。
以下、旧監視サービスのアラーム用APIを「旧API」、新監視サービスのアラーム用APIを「新API」と表記します。
移行手順については、[監視サービス アラーム移行手順](https://doc.cloud.global.fujitsu.com/lib/iaas/jp/monitoring_service_replace_guide.html) を参照してください。

用語説明#

本章のAPIで使用する用語を説明します。

用語 説明
監視項目 リソースに対する測定項目(性能情報や起動状態など)を表します。
アラーム 監視項目に対するしきい値監視の設定です。しきい値条件に対するアクションを設定することができます。
リソース 測定対象。本章ではインスタンス、ボリューム等を指します。
ソース 測定データの収集元を示す情報です。
集合体 特定のインスタンスを指定し、識別するために分類した測定対象群(単体でも指定可能)です。
アラームの対象に集合体を設定することで、複数のインスタンスを同じ条件で監視することができます。

旧監視サービス#

MetricType#

アラームに設定する監視種別(MetricType)の値を以下に示します。

Threshold項目には、下記の表の「単位」に対応した値を設定してください(80%のcpu使用率を指定したい場合は"80"を指定します)。

MetricType設定値 説明 単位
cpu.usage インスタンスに使用可能なCPUの総数に対する消費されたCPUの割合 %
memory.usage インスタンス上で使用可能な合計メモリに対する消費されたメモリの割合 %
network.egress.bit_rate ネットワークインターフェイスの出力ネットワーク帯域幅 Mbps
network.egress.drops ネットワークインターフェイスの出力方向にドロップされたパケットの数 Drops/s
network.egress.errors ネットワークインターフェイスの出力方向で観測されるパケットエラー数 Errors/s
network.egress.packet_rate ネットワークインターフェイスの出力方向で観測されるパケットレート Packets/s
network.ingress.bit_rate ネットワークインターフェイスの入力ネットワーク帯域幅 Mbps
network.ingress.drops ネットワークインターフェイスの入力方向にドロップされたパケットの数 Drops/s
network.ingress.errors ネットワークインターフェイスの入力方向で観測されるパケットエラー数 Errors/s
network.ingress.packet_rate ネットワークインターフェイスの入力方向で観測されるパケットレート Packets/s

新監視サービス#

TargetType#

アラーム作成時または更新時、アラーム設定対象のタイプ(target_type)と、タイプに応じたアラーム設定対象のオブジェクトID(object_id) を指定します。

アラーム設定対象のタイプ(target_type)の一覧を以下に示します。

target_type設定値 アラームの設定対象 object_idに設定する値
project プロジェクト内の全仮想サーバ プロジェクトID
aggregate 集合体(aggregate)内の仮想サーバ 集合体ID (Aggregate ID)
stack スタックによって作成された仮想サーバ スタックID
auto_scaling_group スタックのオートスケールグループ内の仮想サーバ OS::Heat::AutoScalingGroup タイプのリソースのID

スタックについては、機能説明書の オーケストレーション機能 のページを参照してください。

MetricType#

アラームに設定する監視項目(metric_type)の値を以下に示します。

Threshold項目には、下記の表の「単位」に対応した値を設定してください(80%のcpu使用率を指定したい場合は"80"を指定します)。

metric_type設定値 単位 説明
instance.cpu.usage % CPU使用率
instance.memory.usage % メモリ使用率
instance.network.egress.bit_rate Mbps ネットワーク帯域(出力)
instance.network.egress.drops drops/s 1秒間当たりにドロップした出力パケット数
instance.network.egress.errors errors/s 1秒間当たりのパケットエラー数(出力)
instance.network.egress.packet_rate packet/s 1秒間当たりの送信パケット数
instance.network.ingress.bit_rate Mbps ネットワーク帯域(入力)
instance.network.ingress.drops drops/s 1秒間当たりにドロップした入力パケット数
instance.network.ingress.errors errors/s 1秒間当たりのパケットエラー数(入力)
instance.network.ingress.packet_rate packet/s 1秒間当たりの受信パケット数

Aggregation Function#

アラームに設定する集計関数(aggregation_function)の値を以下に示します。

aggregation_function設定値 説明
avg 平均(各仮想サーバ毎に集計)
max 最大(各仮想サーバ毎に集計)
min 最小(各仮想サーバ毎に集計)
sum 合計(各仮想サーバ毎に集計)
grp_avg アラーム設定対象のすべての仮想サーバの平均
grp_max アラーム設定対象のすべての仮想サーバの最大
grp_min アラーム設定対象のすべての仮想サーバの最小
grp_sum アラーム設定対象のすべての仮想サーバの合計
📒注: grp_avg、grp_max、grp_min、grp_sumを指定した場合、アラーム設定対象のすべての仮想サーバの集計期間内の監視データを指定された集計関数で集計して1つの値を算出し、しきい値(Threshold)とを比較します。
avg、max、min、sumを指定した場合、仮想サーバごとに集計期間内のデータを指定された集計関数で集計し、しきい値(Threshold)と比較します。そのため、仮想サーバ単位でアラームが発報されます。

Alarm 旧API と 新API の比較#

Alarm 旧API と 新API におけるパラメータ名の対応#

旧パラメータ名 新パラメータ名 Description
EventRuleId id アラームID
Name name アラーム名
ProjectId project_id プロジェクトID
MetricType metric_type 監視項目種別
IntervalDuration interval_duration 監視間隔
AggregationFunction aggregation_function 集計関数
ComparisonFunction comparison_function 比較式
Threshold threshold 比較値(しきい値や判定値)
Severity severity アラームレベル
AlarmAction alarm_action アラームアクション
Instances instances 監視対象仮想サーバ

新API で廃止されたパラメータ#

旧パラメータ名 Description
ConfigurationStatus アラームの定義反映状態
EventRuleScope アラーム計測種別
AggregateId 集合体(aggregate)のID
新APIにて aggregateを対象としたアラームを作成する場合、target_typeパラメータに aggregate を、object_idパラメータに aggregateの IDを設定してください。
IntervalCount 監視項目の状態判定回数
IntervalsWithException アラーム通知のしきい値
新APIには類似のパラメータとして alert_countパラメータが存在します。
本パラメータは、監視条件を満たした状態が何回連続したらアラームを通知するかを表しますが、alert_countパラメータは何分連続したらアラームを通知するかを表します。
Module アラームモジュール
Mode アラーム起動種別
Status アラームの有効/無効状態
旧APIでは文字列で enabled/disabled を設定していました。
新API では、enabledパラメータに true/falseを設定してください。

新API で新たに追加されたパラメータ#

名前 In Type デフォルト値
/作成時必須指定
Description
description body string 任意 アラームの説明
255文字まで。
target_type body string 必須 アラームの設定対象
プロジェクト内の全インスタンスを対象とする場合は projectを、aggregate内のインスタンスを対象とする場合は aggregateを設定します。
object_id body string 必須 アラームの設定対象オブジェクトID
target_type パラメータに projectを設定した場合はプロジェクトID、aggregateを設定した場合は Aggregate IDを設定します。
📒注: Instances指定時は指定不要です。object_idと Instancesを同時に指定した場合、Instancesの内容が優先されます。
from body string 1m/任意 集計対象期間
ある監視タイミングにおいて、直近のどれくらいの期間のデータを集計対象とするかを設定します。
alert_count body integer 1/任意 アラーム通知のしきい値
監視条件が満たされた状態が何分続いたら alertを上げるかを設定します。
enabled body bool true/任意 アラームの状態
有効の場合は true、無効の場合は falseで設定します。falseに設定されている場合、アラームが条件を満たしてもアラームアクションが実行されません。
nodata_alert body bool false/任意 監視データ取得不可時の通知有無
有効の場合は true、無効の場合は falseで設定します。アラームアクションにメール通知を設定している、かつ本項目の設定値が trueの場合、監視対象のすべての仮想サーバから監視条件に合致するデータが取得できない状態を検知するとメール通知を実行します。
📒注: アラームが複数の仮想サーバを監視しており、そのうち一部の仮想サーバからだけ監視データが取得できない場合、通知は実行されません。各仮想サーバごとに監視データが取得できない状態を監視する必要がある場合は、それぞれ個別にアラームを作成し、その上で nodata_alertを有効にしてください。

Get the history of an alarm の差分#

アラームのステータス変化の履歴参照を参照できるAPI、Get the history of an alarm における旧と新の差分は以下のとおりです。
新APIの詳細は Get the history of an alarm を参照してください。

  • アラーム履歴取得APIのURIが、以下のとおり alarm/historyalarm_historyに変更されます。
    • 旧: GET /v3.0/alarm/history/{alarm_id}
    • 新: GET /v4.0/alarm_history/{alarm_id}
  • レスポンスデータは、旧APIでは actionHistorys キーのリストに格納されていましたが、新APIでは、キー名が action_historyに変更されています。
  • レスポンスデータにおけるアラーム履歴情報のデータ構造が大きく変更されています。
    新APIでは、アラームの状態変化時点での Get a single Alarm で取得できるアラーム情報に加え、以下の項目が履歴情報として示されます。
名前 Type Description
alarm_id string アラームID
Get a single Alarm APIではキー名が idですが、履歴ではキー名が alarm_idです。
timestamp string アラーム発生時間(YYYY-MM-DDThh:mm:ssZ形式)
旧APIでは timestampStrキーに 3桁のミリ秒を含む 13桁の UNIX時刻が設定されていましたが、新APIでは YYYY-MM-DDThh:mm:ssZ 形式です。
state string 発生したアラームの状態
アラームの条件一致の場合は firing、条件不一致の場合は resolved、監視データなしの場合は nodataを示します。
旧APIでは、アラームの条件一致の場合は active、条件不一致の場合は inactiveと示されていました。
また、新APIではアラームの有効無効を切り替えた履歴は表示されません。
instance_id string アラームの状態が変化した仮想サーバのID
旧APIではキー名が entityTypeでした。
aggregate_functionで avg、max、min、sumが指定されているアラームの場合だけ設定されます。
grp_avg、grp_max、grp_min、grp_sumが指定されている場合、空欄が表示されます。

その他の差分#

  • AggregationFunction パラメータにおいて、集計関数を平均とする場合、旧APIにおいては averageを設定しましたが、新APIでは avgを設定します。
    また、新APIでは、アラーム設定対象の全仮想サーバについて平均、最大、最小、合計を集計することができます。
    詳細は「集計関数」を参照してください。
  • Alarm情報は、旧APIでは以下のように jsonのルート直下に示されていましたが、新APIでは alarmキーの内部に情報が示されるようになります。
    詳細は Get a single alarm を参照してください。
    (旧APIの例)
    {
      "EventRuleId": "5e1cf886-27e2-11eb-a7fc-0242ac120006",
      "Name": "cpu_alarm_high",
      ...
    }
    
    (新APIの例)
    {
      "alarm": {
        "id": "5e1cf886-27e2-11eb-a7fc-0242ac120006",
        "name": "cpu_alarm_high",
        ...
      }
    }
    
  • Alarmの一覧取得APIのレスポンスは、旧APIでは EventRulesキーのリスト内に各 Aggregate情報がありましたが、新APIではこのキー名が alarmsに変更されます。
    また、Alarm情報は EventRuleキー内に含まれていましたが、新APIではリスト内に直接 Alarm情報が含まれています。
    詳細は Get all alarms を参照してください。
    (旧APIの例)
    {
      "EventRules": [
        {
          "EventRule": {
            "EventRuleId": "5e1cf886-27e2-11eb-a7fc-0242ac120006",
            "Name": "cpu_alarm_high",
            ...
          }
        },
        ...
      ]
    }
    
    (新APIの例)
    {
      "alarms": [
        {
          "id": "5e1cf886-27e2-11eb-a7fc-0242ac120006",
          "name": "cpu_alarm_high",
          ...
        },
      ]
    }
    
  • Alarmの更新APIのリクエストパラメータが変更されています。
    旧APIでは有効無効は Statusパラメータで指定していましたが、新APIでは enabledパラメータで指定します。
    また、アラームアクションの更新は、旧APIでは AlarmActionまたは DeleteAlarmActionパラメータで追加・削除するアクションを指定する形式でしたが、新APIでは、アラームアクション全体を alarm_actionパラメータで指定されたとおりに更新します。
    詳細は Update an Alarm を参照してください。
  • ComparisonFunctionパラメータにおいて、旧APIでは equalを設定できましたが、新APIでは指定できません。aboveまたは belowを使用してください。

Aggregate 旧API と 新API の比較#

Alarm 旧API と 新API におけるパラメータ名の対応#

旧パラメータ名 新パラメータ名 Description
Name name 集合体(aggregate)の名前
Id id 集合体(aggregate)のID
ObjectList object_list 集合体に含む対象のID
Metadata description 集合体の付帯情報

新API で廃止されたパラメータ#

v3パラメータ名 Description
Type 対象の種別
Source 作成元種別
ObjectMap ※不要な項目

その他の差分#

  • Aggregate情報は、旧APIでは以下のように Aggregateキーの内部に含まれていましたが、新APIではこのキー名が aggregateに変更されます。
    詳細は Get a single aggregate を参照してください。
    (旧APIの例)
    {
      "Aggregate": {
         "Name": "aggregate_name",
         ...
      }
    }
    
    (新APIの例)
    {
      "aggregate": {
        "name": "aggregate_name",
        ...
      }
    }
    
  • Aggregateの一覧取得時、旧APIでは Aggregatesキーのリスト内に各 Aggregate情報がありましたが、新APIではこのキー名が aggregatesに変更されます。
    また、Aggregate情報は Aggregateキー内に含まれていましたが、新APIではリスト内に直接 Aggregate情報が含まれています。
    詳細は Get all aggregates を参照してください。 (旧APIの例)
    {
      "Aggregates": [
        {
          "Aggregate": {
            "Name": "aggregate_name",
            ...
          }
        },
        ...
      ]
    }
    
    (新APIの例)
    {
      "aggregates": [
        {
          "name": "aggregate_name",
          ...
        },
      ]
    }