Heatの概要

IaaSでは、オーケストレーション機能を提供しており、「仮想サーバ」、「仮想ネットワーク」、「仮想ボリューム」などの仮想リソースを使用したシステムの構築や管理を自動的に行うことができます。Heatはこのオーケストレーション機能の動作を、各種定義が書かれたテンプレート(テキストベース)を基に依頼します。

Heatで利用可能な仮想リソースの詳細については「対応リソースタイプ一覧」を参照してください。

Heatを利用する利点として以下が挙げられます。
  1. システム構築・管理作業の効率化
  2. オートスケールの設定

それぞれの利点の詳細について、説明します。

システム構築・管理作業の効率化

Heatテンプレートを利用することで、仮想リソースを一括で作成することができます。また、作成したHeatテンプレートは再利用し、システムの複製や変更・削除を容易に実施できます。この結果、IaaS上でシステムの構築や管理を効率的に実施し、ユーザーの作業量の軽減を実現します。

参考として、IaaSポータルを利用して手動による構築を行った場合と、Heatを使用した場合の作業量(IaaSポータルの画面操作回数)を比較した例を示します。

なお、比較のために構築するシステムは以下の図のような、1つのネットワークに1つの仮想サーバというシンプルなシステム構成を想定します。

Figure: 作業量比較用システム構成

SecurityGroupは自動的に選択されるデフォルトセキュリティグループを使用しています。

システム構築の行程ごとの比較結果は以下の通りです。

Figure: IaaSポータル画面操作回数によるシステム構築作業量比較

オートスケールの設定

オートスケールとは、CPU高負荷などのイベントを契機に、動的に仮想サーバを増減する機能です。

オートスケールにより、サービスに対する突発的なリクエストの増加などに対応することができます。また、リクエストが少なくなった場合は、仮想サーバを減少させることができるため、無駄なコストが発生しません。

このオートスケールは、Heatでのみ設定可能です。

以下の図は、ロードバランサー配下にある仮想サーバのCPU高負荷を契機にしたオートスケールの動作(スケールアウト)イメージです。

Figure: オートスケール動作イメージ(スケールアウト)

以下はCPU負荷が低下した際のオートスケールの動作(スケールイン)イメージです。

Figure: オートスケール動作イメージ(スケールイン)