FUJITSU Cloud Service K5
IaaS 設計・構築ガイド(デザインパターン・実装サンプル集)

NAS


要求事項

NASによるファイル共有するパターンです。


対応するK5デザインパターン概要

K5では、ネットワークアタッチトストレージ (NAS) として配備可能な、仮想サーバイメージを提供します。
このイメージを利用することで、Windows、Linuxからネットワーク上でアクセス可能な共有ストレージ機能を提供する仮想サーバを構築することができます。
このイメージで提供される共有ストレージ機能は、GlusterFSというオープンソースで実装しています。



構造 (イメージ図)



実装サンプル

実装サンプルではマルチAZ構成にて、2台のNASサーバでActive/Active のクラスタ構成としています。
事前準備としてマルチAZ構成が必要になります。

マルチAZ接続パターン 参照

本パターンのテンプレートは、ヘルプデスクから入手してください。



1.テンプレート設定内容

 (1) 本パターンのテンプレートの設定内容
   本パターンのテンプレートでは、以下の内容を設定します。

  • parameters セクション
パラメータ名
設定値
内容
nas1_name"nas1"GlusterFS Server1の仮想サーバ名(固定)
nas1_keypair_name(キーペア を設定)仮想サーバにログインするための キーペア を設定
nas1_network(IDを設定)仮想サーバを配備する ネットワークID を設定
nas1_subnet(IDを設定)仮想サーバを配備する サブネットID を設定
nas1_availability_zone"jp-east-1a"AZを設定
nas1_subnet_cidr"192.168.1.0/24"仮想サーバを配備する サブネット を設定
nas2_name"nas2"GlusterFS Server2の仮想サーバ名(固定)
nas2_keypair_name(キーペア を設定)仮想サーバにログインするための キーペア を設定
nas2_network(IDを設定)仮想サーバを配備する ネットワークID を設定
nas2_subnet(IDを設定)仮想サーバを配備する サブネットID を設定
nas2_availability_zone"jp-east-1b"AZを設定
nas2_subnet_cidr"192.168.20.0/24"仮想サーバを配備する サブネット を設定
flavor"S-1"GlusterFS Serverのフレーバを設定
storage_size"100"GlusterFS Serverのストレージサイズ設定(単位:GB)
storage_type"M1"GlusterFS Serverのストレージタイプ設定
client_cidr"0.0.0.0/0"NASへの接続を許可するクライアントを配備しているサブネットのネットワークアドレスを、CIDR形式で指定



2.テンプレートの配備


  テンプレートを配備すると、テンプレートで設定した内容でシステムが構築されます。
  テンプレートの配備については、テンプレート配備パターン の実装サンプル 1 (2) スタックの作成 を参照してください。

3.クライアントの設定

  NASサーバへアクセスするために、クライアントに以下のどちらかを設定する必要があります。
  ・GlusterFSクライアントのインストールおよび設定
  ・Windowsの共有設定

  IaaS機能説明書>ストレージ>NAS>NASソフトウェアイメージの利用方法 を参照



メリット・効果

NASによるファイル共有パターンを利用した場合のメリット・効果は以下の通りです。
・複数の仮想サーバで構築したシステム内で、共有するべきファイルを一元的に管理可能
・NASはクラスタ構成(Active/Active)で配備するため、データを別々のストレージに冗長化して保存可能
・NASのクラスタをマルチAZで配備することにより、AZ障害の際にもいずれかのNASサーバにアクセス可能



注意事項

利用者の環境上に構築したNASは、利用者ご自身で運用・保守を行ってください。
・本機能で配備したNASサーバのサポートサービスは提供されません。
・採用にあたっては、容量・性能・保守について十分に検証/検討してください。
・NASテンプレートでは、NASのホスト名を固定にすることが前提で作られています。
 そのため、NASのホスト名を変更すると、構築後にNASのホスト名の不整合が発生して、GlusterFSでエラーが発生します。
 なお、外部の仮想サーバからNASサーバをマウントする際には、テンプレートで設定されたホスト名とは
 別の名称でもマウント可能です。
・GlusterFSによるクラスタ構成でも、一般的なクラスタ構成と同様にスプリットブレインが発生する可能性があります。
 業務に合わせて、スプリットブレインに対処してください。

  [スプリットブレイン]
   以下の状態で、NASサーバ上のファイルを更新すると、スプリットブレインが発生します。
   この場合、スプリットブレインが解消した際に、どちらのNASに書き込まれたファイルを “正” としてよいか
   GlusterFS で判断できなくなります。
   GlusterFSのコマンドを用いて、スプリットブレイン状態を解消して、当該ファイルを復旧します。
   [状態]
    ①クラスタ構成内の2台のNASサーバ同士が、何らかの事情で通信できなくなった状態
    かつ
    ②双方のNASサーバともファイルの更新ができる状態だった状態
   [アクション]
    双方のNASサーバで同一のファイルを更新する。

その他

NASサーバ障害時の切替方式例について

仮想サーバ(vm)の書き込み先を nas1 側に設定していた場合に、nas1サーバの障害時に利用者側でnas2側にリンク先を切り替える方式例です。

 【システム構成】



 【通常時】
  NASサーバをマウントするすべての仮想サーバ(vm)から、以下のようにマウント。
  ※通常の書き込み先を nas1 側に限定
  ※nas2 はバックアップ用途に限定
  ・vm内の /mnt/nas1に、nas1:/vol
  ・vm内の /mnt/nas2に、nas2:/vol

  NASクライアントのサーバ(vm)で、以下のようにリンク。
  ・/data ⇒ /mnt/nas1
   通常時は、/data にデータを書き込みする。


 【nas1障害時】
  以下のように、リンクを切り替える。
  ・/data ⇒ /mnt/nas2


関連資料

  • FUJITSU Cloud Service K5 マニュアル
    http://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/k5/document/
    • サービスご紹介資料
    • IaaS 機能説明書
    • IaaS サービスポータルユーザーズガイド
    • IaaS APIユーザーズガイド
    • IaaS APIリファレンスマニュアル
    • IaaS HEATテンプレート解説書

(2018年2月検証)